19世紀後半のフランスでは、豊かな近代市民社会が成熟するに従い、従来の神話画、歴史画といった伝統的な絵画に代わり、個性溢れる芸術家たちによって、同時代の市民をとりまく現実の風景、風俗を題材とした新しい絵画表現が創造されていきます。そうした近代絵画の成立と展開に最も大きな役割を果たしたのが、印象派の画家たちでした。1874年第1回印象派展に参加したモネ、ピサロ、ルノワール、シスレーなどの画家たちは、自然の中から直接学び、太陽のきらめきをキャンバスに写して光の魅力にみちた新しい色彩表現を生み出していきます。彼らの創造した芸術は、以後の20世紀へと続く画家たちにも大きな影響を及ぼしました。
本展では、館蔵のフランス近代絵画コレクションより、印象派の先駆者ブーダンや、モネ、ルノワール、シスレー、ピサロら印象派の画家たちをはじめ、印象派以後に新しい絵画表現を試みたシニャック、クロッスなどの新印象派の作品を展観し、19世紀後半から20世紀初頭にかけて展開したフランス近代絵画の魅力をご紹介するものです。
主な出品作品
①クロード・モネ「サン・タドレスの断崖」1867年
②オーギュスト・ルノワール「ローヌの腕に飛び込むソーヌ」1915年
③エドモン・クロッス「遊ぶ母と子」1897‐8年
④ポール・シニャック「サン・トロヘ゜の港」1923年