マルク・シャガール(1887-1985)は20世紀を代表する画家・版画家としてよく知られています。激動の20世紀を生き抜いたその97年におよぶ生涯は決して穏やかなものではありませんでした。しかしシャガールの描き出す世界は、華やかな色彩と夢のような情景に満ちあふれ、世界中の人々に愛され続けています。
シャガールは1922年、革命後のロシアを逃れベルリン、パリなど各地を転々とする生活に入りました。彼がエッチングの技法を学んだのはこの頃で、まとまった作品集と取り組んだ始めての作品が『死せる魂』です。尊敬する祖国の作家ゴーゴリ(1809-1852)の『死せる魂』を選んで制作された銅版画には、彼の心のなかにあった祖国への愛、望郷の思いがこめられています。
『死せる魂』は単色の銅版画集で、のちの版画集のような多色刷りではありませんが、変化に富む場面構成やシャガールならではの優しさの漂う細かなモチーフなど、その後の彼の特質がよく現れていて見るものを飽きさせません。ぜひご覧ください。
主な展示作品
ロシアの作家ゴーゴリ(1809-1852)が書いた未完の小説『死せる魂』に、マルク・シャガー(1887-1985)が描いた銅版画96点全点を展覧。