この度当館では館蔵品展として「木版画家 笹島喜平~モノトーンで表現された古都と仏像~」を開催いたします。
笹島喜平(1906~93年)は栃木県に生まれ、教師をしながら版画家の平塚運一や棟方志向に師事、主に国画会や日本版画協会に所属して活躍しました。特に大病後の1958年に開始した拓版(拓刷)という技法による作品で、自らの個性を確立し、近代日本版画史に名を残す存在となっています。
その作品はほとんどが大和や飛鳥(明日香)の風景、不動明王や吉祥天をはじめとする仏像などであり、奈良とのゆかりも非常に深い作家と言えます。
当館には作家本人よりご寄贈いただいた作品が収蔵されていますが、平成3年に一度紹介しただけです。今回はその後の調査研究の成果も加えて、約100点で初期から晩年までの笹島の足跡がよく分かるように展示構成し、その魅力もあわせて紹介してまいります。
シンプルでありながら味わい深い作品の数々をお楽しみください。