これまで重点収集作家個展、新進作家グループ展を開催してまいりました東京都写真美術館では、このたび、国際的に活躍する日本の中堅作家の作品表現を積極的に紹介する機会を設けることとなりました。 その第1回目の作家展として2007年は「鈴木理策」展を開催いたします。鈴木理策は1963年和歌山県に生まれ、自らの故郷であり聖地でもある熊野やその周辺、 日常生活から続いていく場としての聖地などをモチーフにした写真作品を制作し、そのライフワーク的作品が評価され、2000年に木村伊兵衛賞、2006年には東川賞 国内作家賞、和歌山県文化勲章 文化奨励賞を受賞。 2003年、ヒューストン美術館のグループ展出品、2006年、ニューヨークでの個展など、国際的な活動の場を広げていきました。 今回は、現在も継続して撮り続けている「熊野」や代表作「桜」を紹介するとともに、初公開となる雪をモチーフにした新作も展示いたします。日本人にとって普遍的な表象を追いかけながらも、 時空は現在の重なりであることを意識させる作品は、現在の私たちの立脚点を確認するためのよい指標となることでしょう。最も活躍が期待される作家のひとり、鈴木理策の現在進行形の活動をご期待ください。