クリストファー・ドレッサー(1834~1904)は、19世紀後半、イギリスで最初のインダストリアルデザイナーとして活躍した人物です。
植物学者としての経歴を持つドレッサーは、19世紀後半、工業化社会が進展するイギリスで、ミントン社のテーブル・ウエアやヒューキン・アンド・ヒース社の金属器など、幅広く、生活の身の回りのさまざまなもののデザインを手がけるようになりました。そのデザイン活動は、20世紀のインダストリアルデザイナーの先駆けとして高く評価されています。
所蔵作品の中から、ドレッサーの作品約50点を展示します。
展覧会構成
・クリストファー・ドレッサーと日本
クリストファー・ドレッサーは、1876年(明治9)に来日し、日本の工芸に高い関心を抱きました。ジャポニスムの時代、ドレッサーがデザインした作品にも、日本風の植物モチーフを取り入れた作品が見られます。ドレッサーと日本の関係を紹介します。
・陶器
クリストファー・ドレッサーは、数多くの陶磁器会社にデザインを提供しました。オールドホール・アーサンウエア社で製造した《花模様スープ皿 ペルシア》には、幻想的な植物の模様が描かれています。植物学で博士号を取得したドレッサーは若い頃植物学者を志していましたが、断念し、デザイナーへの道をあゆみはじめたのです。
・ガラス
クリストファー・ドレッサーが、グラスゴーのジェームズ・クーパー&サンズ社のためにデザインしたガラスには、宙吹きによる、しなやかな形の「クルーサ」シリーズがあります。川の流れのように、ゆったりとしたのびやかな形のガラスです。
・金属器
クリストファー・ドレッサーは幅広く、身の回りのさまざまなもののデザインを手がけました。ドレッサーは、富裕層のための高価なシルバーウエアではなく、電気メッキによる廉価な金属器を数多く手がけています。
・家具とテキスタイル
クリストファー・ドレッサーは幅広く、家具やガーデンファニチャーなども手がけています。また、テキスタイルやカーテンを紹介します。
ギャラリートーク(研究員によるガイド)
6月10日(日)「クリストファー・ドレッサーについて」木田拓也
工芸館にて午後2時~
参加無料(ただし、展覧会チケットが必要です)