遠山記念館庭園の風情が、夏の名残りから爽やかな秋へと移ろうころ、美術館では、季節にふさわしい書画や工芸品をお楽しみ下さい。
京都東山・東福寺通天閣の紅葉を、繊細な色と筆遣いで描いた森寛斎(1814-1894)筆「通天紅葉図」や、細割りの竹をいく種類もの網代に編んで笈(おい・背負い籠)のかたちに整えた煎茶道具入の飯塚鳳齋二代(1872-1934)作「笈形器局」、そして、朱漆地からシルウェットの柳桜を浮かびあがらせ、艶なる趣をもった都築幸哉(?-1942)作「十種香道具」も、見応えのある作品です。
つづく展示室には、古代エジプトのレリーフや、シルクロードを通って日本へ舶載された正倉院の白瑠璃碗と同じ、ササン朝ペルシアで造られた硝子カット碗、また、騎士が鹿狩りをするダイナミックな図を綴織りしたフランドルのタピスリー(16世紀)などを、ゆったりとご覧いただけます。
きっと、展覧会のタイトルの通り、お気に入りの美と出会えることでしょう。