地球上の生命の源である太陽、満天の夜空に輝く星や月、無限に広がる宇宙空間に漂う銀河系。宇宙の神秘と謎はたえず人間の魂を魅了し、人々の想像力をかき立ててきました。古代より星辰の運動は、航海や牧畜、農耕などの日々の労働と生活に密接に結びつき、また惑星と黄道十二宮は、人間の性質や運命に多大な影響を及ぼすと考えられてきました。近代以降、天文学がめざましい発展を遂げ、宇宙に関する知識は飛躍的に拡大深化しましたが、それでもなお宇宙は人間にとって、無限の謎を秘めた存在であり、今なお人々は夜空を見上げ、星や宇宙に思いを馳せています。
この展覧会は、近現代美術を中心に、太陽と月、惑星や恒星、銀河などの天体と宇宙を主題にした美術作品を、絵画、水彩、版画、写真、立体作品など、さまざまな分野から選び、芸術家が、天体や宇宙をどのように思い描き、作品の中にどのような夢を託してきたのか、天文学からいかなる影響を受けてきたのかなど、人間と天体、人間と宇宙の関わりを美術の中に探ります。
物語の中に表された天体、人間にとって最も親しい存在である太陽と月の多様な表情、天球図や黄道十二宮の豊かなイメージ、夜空に輝く無数の星や流れ星、銀河、星雲、あるいは星の誕生から滅亡へと至る壮大な宇宙のドラマ。芸術家の魂がとらえた天界のイメージの中には、人間の喜びや悲しみ、不安や畏れ、無限の彼方への夢と憧憬、未知なるものへの飽くなき探求心などが映し出されています。そして、作品の前でそっと耳を澄ませば、人間や自然をも内包する大宇宙の鼓動が、密かに聞こえてくることでしょう。