中国江西省にある景徳鎮は、世界的な磁器の生産地として知られています。唐末五代(10世紀)から青白磁の生産が始まり、北宋時代の景徳元年(1004年)、その元号を冠して「景徳鎮」の名前が誕生しました。このころから白磁、青白磁の生産が本格化し、13世紀末以降、元・明・清王朝の宮廷御用器となってさらに発展し、白磁、染付(青花)、色絵磁器は世界的名声を博しました。
文化大革命末期の1975年、当時の最高指導者、毛沢東のために日常使いの器を製造するよう秘密裏に中央政府から指示を受けた景徳鎮は、第一級の職人たちによって、最高の原材料と革新的な技術を駆使して、これまで実現したことのなかった1400度の高温焼成による美しい磁器を完成させました。この生産計画は、その年の第一級の任務という意味をこめて「7501工程」と呼ばれました。完成品のうち約1000点が北京に送られましたが、残りはすべて廃棄するよう指示があったのですが、破損して再注文が来ても二度と同じ水準のものは作れないと考えた製造関係者によって、密かに保管されました。毛沢東の没後、保管されていた製品は当時の関係者に配られ、民間へと伝わりました。近年「最後の官窯」とも評され、中国国内でも注目されてきております。
本展は、宋時代の青白磁や元の染付、明・清の歴代の官窯製品、そして日本初公開となる「7501工程」の食器や文房具など約130点により、歴代の皇帝や最高指導者、そして現在も人々を魅了しつづける景徳鎮磁器の千年にわたる変遷を紹介いたします。