あの頃、日本人は元気だった
生活スタイルが変化し大衆文化が花開いた、
戦後の20年間に焦点を当てた展覧会
笠置シズ子の歌う「東京ブギウギ」が大ヒットしたのは、昭和23(1948)年でした。終戦直後の庶民の生活は、食糧や物資が不足する苦難なものでした。そのような中、ラジオから流れてきた「東京ブギウギ」は、戦時下からの開放感とともに、必死に暮らしていた日本人の心に勇気と希望を与えてくれたのではないでしょうか。終戦から10年経った昭和31年の『経済白書』には「もはや戦後ではない」と記され、39年には戦後始めて諸外国の人びとが集ったスポーツの祭典「東京オリンピック」が開催されました。この年には東京―新大阪間に夢の超特急新幹線が開通するなど、本当の意味で戦後が終わり新しい時代の幕が開けたといえます。
一方でこの戦後20年間は、大衆が主役となって、日常の社会や生活スタイルが大きく変化した時代でもありました。芸術・文化の世界でも新たな動きが見られ、マンガ・アニメ、そして映画といった大衆文化が花開きます。またテレビの登場により新たなスターが生まれ、さらに電化製品が人々の生活スタイルを大きく変貌させた時代でした。当時の人たちは、時代の変化を身近に感じながら、必死に、そして元気に生きていた、そんな20年間であったように思われます。
そこで本展では、終戦から東京オリンピックまでの戦後20年にスポットを当て、当時の風俗や文化、人びとの暮らしを紹介したいと思います。単に懐かしいというだけでなく、戦後生まれの人びとにもその時代の息づかいを感じてもらえればと思います。そして何よりも、情報が満ち溢れ豊かだと思われている「いま」という時代に、何か欠けているものはないのか、そのようなことを考える機会になれば幸いです。
主な展示資料
ポスター、写真、漫画、映像、世相資料、芸能関係資料 ほか