洋画家鶴岡義雄氏は、土浦市に1917年(大正6年)に生まれ、本年4月で90歳・卆寿を迎えます。1932年(昭和7年)15歳で茨城県立土浦中学校(現土浦第一高等学校)に入学。この頃から絵画に興味を持ち、時には美術教師に代わって指導を任された事もあり、筑西市出身の洋画家森田茂氏が師事した土浦中学の先輩、熊岡美彦の講習会に参加し熊岡氏のアドバイスもあり画家を志します。本格的に油彩画を学ぶため1937年(昭和12年)に上京、日本美術学校に入学、林武に師事し大きな影響を受けます。1939年(昭和14年)22歳の時、龍ヶ崎市出身の画家服部正一郎の薦めもあり第26回二科展に初出品・初入選を果たしますが、二科会は第30回を最後に軍の圧力により解散させられたため、本格的な活動は戦後1946年(昭和21年)に再建された第31回二科会からであり、当時の新進作家としてキュビズムや抽象主義など新しい表現様式の確立を目指した意欲的な作品を制作します。1950年(昭和25年)第35回二科展で二科会会員に推挙され、その後は、都会の夜を描いた夜景シリーズや1974年(昭和49年)第59回二科展にパリジェンヌに取材したマドモアゼルシリーズ「ソワル・ド・パリ」を出品、内閣総理大臣賞を受賞。1990年(平成2年)には日本の伝統的女性美を追求した舞妓シリーズ「舞妓と見習いさん」(第74回二科展出品)で日本芸術院賞を受賞、1994年(平成6年)に日本芸術院会員に推挙されます。
現在も二科会理事長等の要職を経て、日本洋画壇の重鎮として新しいイメージを追求した作品を制作しています。本展では主に、二科展出品の作品を中心に、作家所蔵と市内所蔵家のコレクションの中から、500号の大作など油彩画作品41点による卆寿記念展を開催します。