北澤美術館新館では、財団法人ポーラ美術振興財団ポーラ美術館の格別のご協力によって、同館所蔵の日本近代陶芸名作展を開催いたします。緑豊かな箱根山中にあって、印象派絵画100点を白眉とし、その他9000点以上の収蔵作品を誇るポーラ美術館には、近代陶芸史上に重要な足跡を残した「人間国宝」に認定された陶芸家と、彼らと同じような課題を共有しながら作陶に取り組んでいた著名作家による名品が多数収集されています。 「人間国宝」とは重要無形文化財保持者の通称で、伝統芸能と工芸技術、その技術を体得した人間の「わざ」を保護するために、1955年から認定制度が開始されました。以来、現在までに陶芸の分野では31名が人間国宝に認定されています。 また、河井寛次郎、北大路魯山人など、人間国宝の認定こそ受けなかったものの、優れた業績を残し高い評価を受けている陶芸家の存在も見逃せません。この度は、ポーラ美術館が誇る極めて高い水準の陶芸コレクションが、はじめて一括して外部に貸し出され、諏訪の地で人間国宝12名を含む名作の展観が可能となりました。 この機会に作品の中に脈々と息づく日本文化の「わざ」の高みと、日本人独特の美意識を探りながら伝統的な作陶技法に基づいて、それぞれに特色のある作品を作り出していった陶芸家達の作品を通じて、土と火の織り成す芸術の神髄をご堪能下さい。