川は人間の生活の源であり、時には恵みを、時には脅威を与えながら、流域の歴史や文化を育んできました。近代以降の産業は、川の環境に大きな変化を強いることになりましたが、近年は地域の自然と水文化に根ざした地域に親しまれる川づくりが推進されるようになっています。
この企画展は広島県の三大一級河川である太田川・江の川・芦田川にスポットをあて、川に関わる文化財を紹介し、川と人々との関わりを考えるものです。
展示の内容
太田川-山と海を結ぶ
太田川流域では、中国山地と瀬戸内海を結ぶ大量輸送の手段として、川舟による水運が発達しました。鉄などの特産品を川舟に積み込んだ加計(山県郡安芸太田町)、川舟の終着地として活況を呈した広島城下にかかわる文化財を紹介します。
江の川-信仰と生活
寺が廃絶した後も地域の人々の信仰を集める古利薬師堂(北広島町)の平安仏、川に生きた人々の喜怒哀楽を共にした魚撈(ぎょろう)用具。江の川流域の人々の信仰や生活の様子を伝える文化財を紹介します。
芦田川-川が生んだ伝説
長い間その所在地が不明であった備後国府跡(府中市)、わずかな文献記録しかなく幻の町となっていた草戸千軒町遺跡(福山市)。芦田川流域に栄えながら伝説となり、現代の発掘調査でその存在が明らかになった遺跡跡の文化財を紹介します。
川と文化財を愛した写真家・井手三千男
昨年亡くなられた写真家・井手三千男氏は、川と文化財を愛し長年その保護に御尽力されました。追悼の思いを込めて、井手氏が撮影された文化財の写真を紹介します。
よみがえる文化財
先人が遺した文化財を後世に伝えていくと同時に、失われた文化財を復元する活動も行われています。草戸千軒町遺跡から出土した磁器を修復する過程を紹介します。