椿は長い時代を通じて日本人に愛されてきた花樹で、古くは万葉集によまれ、人々の生活とも深くかかわってきました。また、迎春や結縁を象徴する縁起の良い花として、さまざまな分野の美術品にとり上げられてきました。
今回の展覧会は収蔵品の中から、山口蓬春や伊東深水などの日本画、中川一政や林武などの油彩、北村昭斎、田村耕一らによる漆芸や陶芸、椿百余種を描いた「百椿図」など、椿を題材にもとめた美術品を展示いたします。
花椿は資生堂の商標でもあり、資生堂と椿のイメージは分かちがたく結び付いています。そこには、常に緑をたたえ、年毎に新たな花を咲かせる椿に託して、衰えぬ美しさを願う心が込められています。
展覧会が始まる2月には、アートハウス庭園内の椿の花が見頃です。自然が咲かせた椿と、人の手による椿、その双方をお楽しみいただける機会となります。