更紗、イカット(絣)[かすり]、カシミヤ・ショールなど、インドの伝統工芸の中でも染織はその質においてもデザインにおいてもすばらしく、耳にしただけで心が浮かれる女性も多いことでしょう。実際、絹のように細く上質な木綿糸で織られた布地に手描きや木版奈染(もくはんなっせん)で花鳥や動物文様をなした更紗(さらさ)、さまざまな色に染められた繊細な毛糸を用いて綴れ織(つづれおり)や刺繍(ししゅう)で細密にペイズリー柄を表したカシミヤ・ショールは、17~18世紀のヨーロッパ女性を魅了し、ドレスやコートなどにも仕立てられました。更紗に対するヨーロッパ人の思いは日本にも飛び火して、オランダ船を介してインドから日本に輸入され、おもに茶人たちの間で愛好されました。伝統の美を誇るインド染織の数々をご覧いただきます。