コレクター独自の視点によって収集された作品をもとに、展覧会を企画致しました。今回は、日々の暮らしの中で大切な役目を果たしているにも関わらず、あまり省みられることのなかった、「枕」に焦点を当てようとするものです。
考えてみれば、毎晩世話にならぬ日とてない「枕」ですが、じっくりと「枕」のことを考えたことがあったでしょうか。難を転ずるということから南天を素材とし、一富士二鷹三茄子の全てのアイテムを一木造りに仕上げた枕などは、いかにも良い夢が見れそうです。また、使い込まれた李朝期の折畳み枕は素晴らしい民芸の一品であり、行灯や硯などが組込まれた旅先での携帯枕は旅の大変さを彷彿とさせる歴史資料でもあります。
今回、一堂に集まったコレクションにより、様々な地域、歴史的特徴を備えた「枕」を、存分に堪能いただくとともに、その世界が広く、かつ深いことを再認識していただければ幸いです。