きんらんどんすの帯しめながら 花嫁御寮はなぜ泣くのだろ (初出『令女界』大正13年2月号) 大正ロマンの旗手としてデビュー、昭和に入って一世を風靡した挿絵画家・蕗谷虹児(ふきやこうじ)(1898~1979)は、童謡「花嫁人形」の詩人(25歳の作)でもありました。 日本画を修行した後、エコール・ド・パリの一員としても活躍した彼の抒情画には、日本情緒とエキゾチズムが同居し、描かれたヒロインは深い官能を秘めながら、同時に理知的でもあります。 相矛盾する感性を融合させ、独自の美をつくりあげた蕗谷虹児……初公開資料を含む作品の数々により、無垢な詩魂を貫いた、その生涯を辿っていただきます。