このたびNHK「日曜美術館」が放送開始30周年を迎えることとなり、その記念展が企画されました。東京、京都に続いて、広島の皆さんにこのユニークな展覧会をお届けします。 美術番組の草分け的存在として多くのファンに親しまれてきたNHKの「日曜美術館」。1976年4月の放送開始以来、放送回数にして1500回を超える長寿番組となりましたが、全国の美術界、美術ファンに対して依然大きな影響力をもっています。たとえば、「日曜美術館」で紹介された展覧会は一躍話題の催しとなり、放送直後から開催館への問い合わせが急増、その日の午後から客足が大きく伸びる、というようなことも珍しくはありません。自館の展覧会にも取材オファーがあることを心待ちに、毎週日曜日の朝、美術館関係者たちもテレビ画面に熱い視線を注いでいます。 「日曜美術館」の大きな特徴は、何といってもその出演者の多彩な顔ぶれです。文化人、著名人はもちろん、時には作家自身が出演して語るユニークな美術案内は、一般の美術書とは異なる「人間」を中心にすえた等身大の語り口でファンを魅了してきました。作家の交友関係や数奇な運命、知られざる創作エピソードに導かれ、それまであまりなじみのなかった作品・作家が知らず知らずのうちに身近な存在へと変わってゆく…、そんな経験をご記憶の方もきっと多いはずです。 本展では、この30年の間に放送された映像の中から特に印象に残る作品や作家を取り上げ、番組で紹介した作品を中心に70点を展示します(広島展出品リストはコチラ)。懐かしい出演者が作品・作家への強い思いを込めて語る様子や、作家本人のアトリエでの制作風景など、貴重な映像を展示構成の中に豊富に盛り込み、もうひとつの見どころを作っています。 名品と映像が織り成す、とっておきの美術案内-をどうか存分にお楽しみください。 なお、本展図録には176点の作品が掲載されていますが、計6会場の長期巡回をカバーするため、会場によって展示作品が大きく異なります。広島会場でご覧になれるのは71点となっています。何卒ご了承ください。