季節の移り変わりにつれて風情を変える景色は、多くの画家の題材となってきました。とりわけ春を迎える頃には、樹々が一斉に芽吹き、花々が咲き乱れ、さまざまな色彩の響宴が見られます。本展では、自然の多彩な色ばかりでなく光の戯れや風のそよぎまでも表わそうとした絵画を、コレクションから選び展示しました。 田淵安一は、フランス生活が25年をこえた1970年代後半からの数年間、アトリエの裏山にある林檎の木を主題にした<未完の季節>のシリーズを制作しました。画家の心の変化とともに樹の色も自由に描かれています。 光の動きを追求した印象派の画家モネへの賛美を煌めく色と流れるような線で描いた嶋田しづ、花の命の輝きを日本画的な表現で油彩画に仕上げた石川ヨシ子。どの作品からも春の息吹が感じられます。 地球の温暖化が懸念される昨今、四季に恵まれた日本の自然を守ってゆきたいものです。 展示作品:油彩13点