須坂版画美術館では日頃、作画から彫り、摺りまでを作家が手がける「創作版画」と呼ばれる版画作品を中心にご紹介しています。これら創作版画とともに日本の版画史の上でもうひとつ重要な系譜が、大正時代に生まれた「新版画」とも呼ばれる伝統的製作手法による木版画です。浮世絵制作と同じく版元、絵師、彫師、摺師による分業で、時代を映すモダンな感覚で描かれた女性像や役者像などが緻密な技により表現されました。本展では、伊東深水、橋口五葉、笠松紫浪、名取春仙、山村耕花による美人画と役者絵の名品とともに、下絵や版木などもあわせ、伝統木版の技と美の世界をご紹介いたします。