海に浮かぶ都市・ヴェネツィア。その美しさはアドリア海の真珠と謳われ、1987年には世界遺産に登録されました。統領のもとに独自の政治体制を作り上げたヴェネツィアは、7世紀から18世紀まで共和国として存続し、東西交易の要として経済的繁栄を謳歌しながら、芸術の都としても名を馳せてきました。
ヴェネツィア絵画の特色は、何と言っても華麗な色彩にあります。線、すなわち素描を重視した同時代のフィレンツェ絵画とは対照的に、ヴェネツィア絵画は豊穣な色彩とタッチを生かしたスタイルを確立し、展開しました。この展覧会は、ヴェネツィア絵画が隆盛を極めた15世紀から18世紀に焦点を当て、次の3つのセクションによって構成します。
1.宗教・神話・寓意 2.統領のヴェネツィア 3.都市の相貌
ティツィアーノやティントレットらによる宗教画や神話画、華やかな統領の肖像画、そしてカナレットやベロットによるヴェドゥータ(都市景観画)やロンギによる風俗画まで、約70点の出品作品はいずれもイタリアの美術館と個人所蔵家のコレクションです。歴史と現実が交錯する舞台、遥かなヴェネツィアの夢の世界をどうぞご堪能ください。