就学期を銚子市で過ごした浜口陽三(1909年~2000年)はメゾチントという銅版画技法による静謐で詩的な作品によって1957年のサンパウロ・ビエンナーレ最高賞をはじめ、国内外で受賞を重ねました。市原市在住の深沢幸雄(1924年~)は独学による多彩な銅版画技法を伝えた功績により、1994年メキシコ政府より文化勲章を授与されました。また、就学期を木更津市で過ごした靉嘔(1931年~)は「デモクラ―ト美術家協会」等に参加した後、1958年渡米。以後、「フルクサス」への参加や1966年のヴェネチア・ビエンナーレへの出品等、国内外で高い評価を受けています。本展では、千葉県ゆかりのこれら3人の作家について、浜口と深沢は代表的な版画、靉嘔は渡米前の素描を中心に展示いたします。そこに、彼らと同様に世界的な活躍をしたライバルであり、靉嘔と共に「デモクラ―ト美術家協会」に参加していた吉原英雄(1931年~2007年)と池田満寿夫(1934年~1997年)の代表的な版画を加え、戦後日本の版画界の隆盛を担ってきた作家たちの個性を比較し、その魅力について考えてみたいとおもいます。
出品作家
愛嘔(就学期に木更津市に滞在)、浜口陽三(就学期に銚子市に滞在)
深澤幸雄(市原市在住)、池田満寿夫、吉原英雄