独立美術協会の結成時(1939年)、三岸好太郎を勧誘に訪れたのは里見勝蔵でした。二人は同展を主な舞台に制作を競い、1934年の三岸の急逝によって終わりを告げるまで互いに良き理解者として進行を深めています。
ヴラマンクに師事し、日本におけるフォーヴィズム(野獣主義)の旗手といわれる里見勝蔵(1895-1981)は、強烈な色彩と奔放な筆触によるきわめて主観性の濃い表現を確立し、終生、フォーヴィストとしての姿勢を貫きました。
他方、三岸好太郎(1903-1934)は、短い生涯にめまぐるしく画風を変えていますが、その根底にはフォーヴィズムに通じる抒情的な気質がありました。
本展は、近代日本洋画史上に異彩を放った二人の画業を、フォーヴィズムとの関わりという視点から明らかにしようとするものです。