群馬県立近代美術館は、昨年度より県庁昭和庁舎特別展示室において、さまざまなテーマでコレクションを紹介しています。
今回は、群馬が生んだ代表的な画家のうち、旧大胡町(現在の前橋市)に生まれた横堀角次郎(1897~1978)の油彩作品19点を紹介します。
横堀角次郎は18歳のとき、のちに麗子像の作者として知られることになる岸田劉生を訪問したことがきっかけで、画家の道を歩み始めます。劉生の絵画を彷彿とさせる静物画、道や草木を細密に描写した初期の風景画などは、師に寄り添って大正期の洋画史の流れに足跡を残したことを物語っています。やがて横堀の絵画は、故郷の山や身近な自然を明るい色彩と大胆な筆致で描く画風へと変化します。作者の故郷に寄せる深い愛情は、郷土の美術振興に大きな役割を果たしたことからもうかがえます。飄々として天真爛漫な横堀の気質を思わせる、明るくほのぼのとした写実絵画をお楽しみください。