旧八幡市に生まれ育った芦馬治雄(1932-)は、一貫して八幡の姿を描き続けています。八幡中央高校を卒業後、八幡信用金庫で銀行員として働きながら、自由美術展や北九州美術家連盟展などに参加します。初期には、指導を受けた糸園和三郎に大きな影響を受け、同じく八幡市出身の寺田政明と交友、また松本竣介の作品に学び、堅実な画風の作品を制作しています。その後は八幡のまちと、そこで働く名もない労働者のいる風景を描くようになりました。近年はそうした風景画のほか、果物や花など、静かな詩情をたたえた静物画も生み出しています。
本展は、芦馬治雄が描き始めた1950年代後半の初期作品から現在に至るまでの作家の足取りをたどるものです。時間をかけて繊細に仕上げられた下地に、独特の緻密さをもって詩情豊かに描きあげられた油彩約50点、そのほか素描などをあわせて展示いたします。