河鍋暁斎は、江戸末期から明治にかけて活躍した狩野派の絵師です。10歳で駿河台狩野派に入門、19歳という異例の若さで、画号を取得、修業を修了します。 江戸時代は、人々の生活を描いた風俗画が、庶民のために描かれた時代です。暁斎も夥しい数の風俗画を描きました。その中には女性を描いたものが多く含まれています。これは暁斎に限られたことではありません。江戸時代に描かれた風俗画(特に遊楽図)の多くは、女性たちで占められているのです。多くの絵師たちは、女性の美を通して、生活の美を描いたのでしょう。人々の情緒生活に女性は重要な役割を占めていました。そして、明治時代においてもやはり、美人画は風俗画の好画題となったのです。 本展は、暁斎の描く女性像を中心に展示を行うと共に、娘であり弟子でもある暁翠の作品も展示し、父娘の比較を行うことにより、二人の絵師の特徴をも明らかにして参ります。華麗なる女性美の世界をぜひ御覧下さい。