本展では、当館所蔵の彫刻と工芸作品の中から動物に関係する作品を紹介します。
ここでいう動物とは、人間以外の哺乳類を中心に亀などの爬虫類、鳥類、魚類、さらには獅子など架空の動物まで広くとらえることとします。
動物は古来より美術の中で頻繁に扱われる重要な対象の一つです。実存する動物のみならず、獅子など架空の動物も作品の中に頻繁に登場します。
彫刻において、動物は,純粋にその形を表現したもののみでなく、人物との組み合わせ上欠かせないものとして扱われる場合もあります。また、用途を伴う工芸は、その性格上いくらか形が制約されます。そのため、作品の形の美しさを強調したり、季節感を表して作品に趣向を出したりなど役割は様々です。
そこで、この展覧会では、紹介する作品を彫刻と工芸という立体の領域に絞り、作品の中の動物の役割を検証していきます。動物自体の形態の面白さや豊かな量感を巧みに表現した木彫像やブロンズ像、また流麗な絵柄が形の美しさを生かしている壺、柄や口に効果的に動物をあしらった陶器などの展示を行います。特に亀・獅子・魚・鳥などは出品作品の彫刻と工芸それぞれに登場することから、対比してご覧いただけるように展示いたします。
彫刻や工芸作品の中の動物たちと自由に対話をお楽しみいただけましたら幸甚です。