19世紀前半、歌川派と葛飾派という二大流派が隆盛していく中、独自の一派を築いたのが、菊川英山とその弟子である渓斎英泉です。
菊川英山は、すっきりとした上品さが漂う、人形のような清らかな顔立ちの美人画の妙手で、喜多川歌麿や鳥文斎栄之の次世代を担う美人画絵師の一翼として活躍しました。渓斎英泉を筆頭に多くの弟子を育て、菊川派の祖とされています。
渓斎英泉は、英山と同じく美人画を得意としながらも、目尻をつり上げ下唇を突き出した妖艶な表情の女性たちを捉え、幕末の世相を反映した、粋で張りの強い生命力あふれる女性美を創り上げました。幕末の動乱の足音が少しずつ聞こえつつある時代に描かれた英山と英泉による女性たちの姿は、行き先の不透明な現代社会だからこそ、より共感できるところがあるかもしれません。幕末美人画の双璧とされる英山・英泉が織りなす女性美をご鑑賞ください。
※総展示作品数130点弱。前期と後期で全て展示替えいたします。