福岡県久留米市に生まれ、大正から昭和にかけて活躍した古賀春江(1895-1933)は、素朴な純真さを作品にたたえながら、一方で、美術の世界でつねに時代の先頭に立とうとした洋画家です。新しいアイディアや思いがけない図柄を貪欲に追い求め、グラフ雑誌から科学雑誌、医学書まで利用しようとしました。当館の姉妹館、石橋美術館は、この画家の作品と資料の収集を重ねてきました。幸いなことにその中には、彼の制作過程を知るうえで貴重な材料が数多く含まれています。発想を書き残したメモ、鉛筆の下絵、完成した油絵を順に見比べることもできます。今回の展示は、他の美術館所蔵の代表作品や資料をさらに加え、絵画作品25点、資料約50点をならべて、この画家の創作の秘密を探ってみようとするものです。