花火は、庶民の間に普及していった江戸時代以降、夏の風物詩として欠かせないものとして親しまれてきました。今日では、多くの日本人は、幼少時より花火を楽しみ、一年を通して花火を鑑賞する機会に恵まれています。
闇の中でひととき輝く花火には、はなやかな光の美しさだけでなく、しみじみと感じさせるその後の静寂など、日本人の心を捉えるものがあります。例えば、そのはなやかさとはかなさは、人生や死について考えさせることもあります。花火のモチーフは、小説などの文芸作品のなかで印象的な描写で使われたり、美術作品のなかで、風景としてだけでなく、記憶や内面的な世界を語るものとしても取り上げられたりしています。
今回の展覧会では、美術家の創作意欲を刺激した花火に注目し、歌川広重、歌川豊国らの浮世絵から、小山田二郎、清宮質文、有元利夫など現代の美術家の作品まで60数点を紹介し、美術家が花火をどのように捉えたかを探ろうとします。
上記以外の主な出品作家
歌川国貞、歌川国芳、小林清親、古賀春江、近藤浩一路、加藤栄三
稗田一穂、藤松博、草間彌生、小林孝亘など
(会期中、一部展示替えあり)