滋賀県立近代美術館では平成19年(2007年)4月21日(土)から6月3日(日)まで、企画展「~松園・遊亀・不矩~松園賞・文化勲章受章の女流日本画家たち」を開催します。個性豊かな3人の女性画家の作品を一堂に展示する贅沢な展覧会です。
近代日本の歩みの中で、美術制度が整えられ、展覧会に入選し賞を獲得することで、女性も画家としての社会的地位が認められるようになりました。その中でまず特筆される画人は上村松園(うえむらしょうえん)です。女性のための教育機関がまだなかった時代に、男性に交じって画塾で学び、順調に文展・帝展で入選を重ね、帝国芸術院会員・帝室技芸員となり、戦後は女性で初めて文化勲章を受章しました。
昭和24年(1949)に松園は没しましたが、その遺作展の収益を基金に若手女流日本画家を対象に「上村松園賞」が設けられました。6年に渉って5人に授与されたましたが、このうちのあきの秋野不矩(あきのふく)・小倉遊亀(おぐらゆき)の2名はまた松園に続いて文化勲章を受け、鮮やかな足跡を残しています。遊亀は長年日本美術院の看板画家として活躍し、理事長も歴任しました。不矩は創造美術の創立会員として、現在の創画会の礎を築きました。彼女らの魅力は何よりも、壮大で懐の深い、その絵画世界にあります。
本展は松園・遊亀・不矩、3人の女性画家の足跡を作品でたどり、彼女ら独自のスタイルの確立とその波紋を、近代日本美術が発展する文脈の中に読みとろうとするものです。3人の人気日本画家の作品をまとめて鑑賞できる機会は滅多にございません。皆様ぜひご観覧ください。