仏教の開祖ブッタ(釈迦)は、今からおよそ2500年前の実在の人物です。ブッタは、本名をゴータマ・シッダールタといい、インド北部小国の王子として生まれました。若くから人生の苦悩に心を痛め、29歳で出家、様々な苦行の後、35歳でブッダガヤーの菩提樹の下に座り悟りをえました。初期の仏教美術は、ブッタの遺物、特に遺骨を崇敬しそれを納める仏塔(ストゥーパ)が盛んに造営されました。しかしながら、ブッタの像を造ることはありませんでした。紀元前1世紀末頃、ガンダーラ地方(現在のパキスタン北部)で最初の造像がなされました。その後、中国・朝鮮半島に渡った仏教文化は、海を越え、日本人好みに変容され、独自の美術を創りだしました。また、日本古来の神道も仏教に集合し吸収されていきます。更に、様々な経典の解釈により種々の宗派が生まれ、多様な仏教文化を展開してきます。 今回の展覧会では、御所蔵者様のご好意によりご出品いただきました「ガンダーラ仏」や中国・朝鮮半島の仏像などの名品を特別に展示いたします。また、当館のコレクションの中からは、鎌倉時代から現代に至る日本の仏教美術の作品を一堂に展示いたします。 ぜひこの機会に、日本人の精神的な支えとなった仏教美術作品にふれ、昔の人々の祈りの心をご体感いただければ幸いです。