京都は千年余りもの永きにわたって都であり続けました。これは国際的にも珍しいことであり、その長い歴史の所産として、芸術の分野にも格の高い熟成がもたらされ、日本の文化の発展に大いに貢献してきました。その中心となったのが、京都御所を頂点とする宮廷文化でした。
現在の京都御所の御殿は1855年(安政2年)に造営され、内部の障壁画は、当時のわが国絵画界を担っていた精鋭の絵師達が総動員されて描かれました。それは、いわば19世紀の京都画壇のタイムカプセルともいえる貴重なもので、当時の画壇の全容を如実に物語っています。
本展では、御殿建物や障壁画の保存管理の観点から、広く公開されることのなかった京都御所の珠玉の障壁画が初めて一挙公開されます。
多くの方々に、雅に彩られた宮廷文化に接していただくことを通して、わが国の芸術文化を改めて見直し、理解を深める契機となり、また、皆様のそのご理解によって、文化財の保護が一層推進されることを願うものです。
御常御殿と御学問所の襖絵
約200面を初めて一挙公開
小下図も併せて出品いたします