「ジャポニスムのテーブルウエア-西洋の食卓を彩った“日本”」では、ニューヨーク在住の実業家デイヴィー夫妻のコレクションから、19世紀末の欧米で日本美術への嗜好をもとに製作された装飾美術品の数々を世界初公開いたします。
「日常生活のなかで実際に使われたジャポニスム作品という着眼点のもと、長年かけて収集され、これまで非公開だったデイヴィー・コレクションが、この度世界に先駆けて紹介され、その全貌が明らかになります。コレクションの中核をなすのは、ミントンやウェッジウッド、ロイヤル・コペンハーゲンなどの陶磁器、エミール・ガレやルネ・ラリックなどのガラス、ゴーハムやティファニーなどの銀器を主体とするテーブルウエアです。種類もティーカップ&ソーサー、皿、カトラリー(食卓用ナイフ、フォーク、スプーン)、グラスなど様々で、なかには室内外の空間を飾るランプや置物などの逸品も含まれます。収集アイテムの種類のバランス、年代の絞込み、作品コンディション、コレクションとしての美的統一感など、愛着を込めて丹念に築き上げられた個人コレクションならではの質の高さがみられます。
本展では、約215点の工芸作品を紹介し、19世紀末西洋の食卓を華やかに演出したジャポニスムのテーブルウエアの魅力に迫ります。そしてこの展覧会を通して、当時の欧米の装飾美術家たちが日本美術の技術やモティーフを単に模倣、借用しただけでなく、いかにその根底に流れる思想や自然観から触発を受け、オリジナルの日本美術にはない新たな創造を成し得たかを見ていただきます。
※ジャポニスムについて
19世紀後半、欧米諸国で日本の美術品が輸入、紹介され始めたことにより広がった日本美術への嗜好。日本趣味と通称する。日本文化や日本美術への関心は、1967年のパリ万国博覧会を契機に高まりをみせた。その愛好現象は、印象派やアール・ヌーヴォーなど19世紀後半のヨーロッパ芸術に多大な影響を与え、モティーフや技巧の表面的な模倣にとどまらない新たな創造を生む力となった。