大正ロマンを象徴する画家・竹久夢二(1884-1934)は、「夢二式美人」を描いた日本画で知られ人気を得ていますが、夢二の日本画は女性絵ばかりでなく、風景・花卉・子どもなどを題材に、幅広い画風で数多く作品を残しました。
夢二は独学で日本画を修得し、生涯画壇に属さず、自由に個性を発揮しました。伝統的な技法や約束事に縛られない姿勢を貫いて制作した作品からは、今なお独特の魅力が感じられます。
また詩人でもあった夢二は、自身の詠んだ詩歌や俳句を書にしたためる機会も多く、色紙や短冊、時には日本画の余白に筆をとって、詩画を融合させた表現も試みました。さらに毛筆による流麗な筆跡は手紙にも見ることができ、情趣に溢れた夢二の内面世界や人柄が反映されています。
本展では夢二の日本画と書に焦点を当て、肉筆によって表現された芸術美と、そこに秘められた精気を堪能して頂ければと思います。