再興院展は日本美術院が毎年開催している日本画の展覧会です。日本美術院は、明治20(1887)年、日本で初めて設立された官立美術学校である東京美術学校(現東京芸術大学)が開学します。日本美術院は、この東京美術学校の校長を務めた岡倉覚三(天心)を中心として結成されました。日本美術院結成当時、中心的な役割を果たしたのは、橋本雅邦、横山大観、下村観山、菱田春草ら、同校の教官を努めた画家たちでした。当初、日本美術院には、日本画のほかに工芸などの部門があり、展覧会だけでなく、芸術研究にも力を注いでいました。美術院が結成された明治31年の10月に第一回の院展を開催、その後は春と秋に展覧会を行いました。はじめは東京美術学校近くの谷中に事務所を構えて活動、その後経営不振になると茨城県の五浦(いづら)へ移転、一時は展覧会も途絶えます。しかし天心の歿後、展覧会は再興院展として再開され、今年は91回目となります。
このように長い歴史を持つ日本美術院の展覧会、再興院展は、画家たちが新作発表する展覧会としては、日本でもっとも知られているといってよいでしょう。所属作家は著名人が数多く、物故作家としては安田靫彦、前田青邨、速水御舟、小倉遊亀ら、また現存作家には片岡球子、福王寺法林、平山郁夫ら、一般にもよく知られた画家たちを擁しています。
院展は当初より地方に巡回しており、当館では昭和54(1979)年に初めて再興院展が開催されました。徐々に日本画を描く人々も増え、現在では冬の日本画の展覧会として九州中から鑑賞者が訪れます。今年も平山郁夫、福井爽人ら重鎮の作品と共に、地元や若い作家たちの作品が一堂に会します。