魅力あふれる“カサノヴァ”の人物像から、18世紀ヴェネチアの文化背景にせまり、当時の人々を魅了したヴェネチアン・グラスや香水瓶など計40点以上の収蔵作品をご紹介致します。
18世紀のヴェネチアは、中世にはじまったカーニバルが一年の半分を費やすほど大規模で華やかなものとなり、煌びやかな衣装と仮面で社会的な立場や職業、身分を開放した男女が「快楽」と「自由」を求め、街中が「生きる歓び」に溢れていました。
“ジャコモ・ジローラモ・カサノヴァ”(GiacomoGirolamoCasanova/1725-98/ヴェネチア)は、官能的な容姿たぐいまれな知性とゆたかな感情に恵まれ、医師、詩人、バイオリン奏者、法律家、脱獄犯、剣の名手、スパイ、聖職者…など、ありとあらゆる顔をもっていました。その生涯において試みなかったことはないとも言われたカサノヴァが、もっとも情熱を注いだこと、それは「愛する」ということでした。
「私は女性のために生まれ、つねに女性を愛し、愛されるように努めた(「回想録」より)いつわりのない心と優しさに満ち、けして揺らぐことのなかったという無限の愛は、ありとあらゆる女性を魅了してやみませんでした。数百人、数千人とも言われた女性との甘美な日々は、自伝「カサノヴァ回想録」にも詳細に記され、広く知られています。