今回の高知県立美術館コレクション展では、収蔵品の中から裸体画を表現した作品をご紹介します。
裸体の絵、裸体画について皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか?例えば、裸へのエロティックな興味だけで見たいと思われる方、反対に公の場で見せるのは不謹慎だと思われる方もいるでしょう。
しかし、古今東西多くの芸術家たちは、盛んに裸体画を取り上げ、現在も日本画、油絵、版画などあらゆる材料・技法で表現されています。なぜでしょうか?
裸体画が生まれてから廃れず残った理由は、思うに人間の肉体の美しさの飽くなき探求ではないでしょうか。古代の神々は人間の理想的姿として表され、ルネサンスでも人体の美がクローズアップされました。
日本では、明治時代になって裸体画が本格化し、まず黒田清輝が自分の作品で紹介しましたが、途端に「裸体画論争」という裸体の芸術性を巡って論争が交わされました。そして官憲が風俗を乱すものとして取り締まりもしました。戦前の日本人作家たちは、裸体画を猥雑と見る偏見の中で創作したのです。
本展の裸体画からは、日本の過去の苦闘ぶりは全く感じられず、どれも魅力的な作品です。外国人作家の作品も含め、前期・後期合わせて約80点を展示しますので、ぜひご覧ください。
紹介作家
アレクサンダー・アーキペンコ、石川寅治、今西中通
トム・ウェッセルマン、ハインリヒ・カンペンドンク
楠永直枝、パウル・クレー、合田佐和子
ナタリア・ゴンチャローヴァ、エゴン・シーレ、高島常雄
橋田庫次、土方久功、エリック・フィッシュル
コンラート・フェリックスミュラー、エーリッヒ・ヘッケル
マックス・ペヒシュタイン、牧ヶ野教信、ブルース・マクリーン
アウグスト・マッケ、森田曠平、山脇信徳
クリスティアン・ロールフス
以上23名