メランコリックな女性像や愛くるしい童画、斬新なデザインなどで知られる竹久夢二(1884~1934)は、没後70年あまりを経た今もなお高い人気を持ち続けています。現代にも通じる作品そのものの魅力もさることながら、印刷媒体によりイメージを流布させた作家としてのありかたや、同時代の若者たちへの影響力の強さなど、その存在は近代にあって誠に稀有であり、芸術家としての評価は近年ますます高まっています。
この展覧会は、竹久夢二の代表作を集め、その全体像を改めて探ろうとするものです。夢二の芸術家としての生涯を投稿家時代(1905-09年)から晩期(1930年代)までの五期に分け、それぞれの時代ごとに、肉筆画を中心に版画・装幀本などもあわせて展示し、作風の変遷を辿ります。
「夢二式美人」を創始した夢二、弱きものに共感を寄せる社会派としての夢二、「夢二学校」のカリスマとしての夢二、デザイナーとしての夢二、詩人あるいは文章家としての夢二など、約350点の作品から多彩な芸術家竹久夢二を検証します。