もっとも平凡なスナップショットという手法を使って写された、人や風景。これらは芸術写真と呼ぶにはあまりにも出来が悪く見える。しかし、出来の悪い写真がダメだとは限らない。作者は一貫して、美的判断や映像論的な反省を拒否している。ピントは外れ、ときにはプリントは黒く潰れ、たしかに人や風景が写されているがどれほど関心を持って撮られたのかさえ分からない。しかし、写真を見るということは、世界のねじれやゆらぎ、あるいは深さを垣間見ることでもあるはずだ。写真は、理解するものではない。けっきょく、出来の悪い写真に賭けられているものは「写真の無意味さ」の可能性なのである。 毎月の連続写真展「XXXX STREET SNAPSHOTS」の12回目。