今日我が国では、博物館、美術館などが整備されて充実してきましたが、その一方で、全国の国立大学法人にも、研究や教育のために収集された博物的資料、学術資料、芸術資料など、豊富な資料が収蔵されています。これらは一般にあまり知られていませんが、現在の学術研究の一端を担う貴重なものばかりです。これらの資料を大学内で活用するのみではなく、広く一般にも公開して社会の文化資源にしていこうという理念のもとに、各大学にユニヴァーシティ・ミュージアムが設立されつつあります。
今回の展覧会は、全国25の大学や機関から、これぞという一点を東京藝術大学大学美術館に集める、ユニヴァーシティ・ミュージアムの企画です。最初の実験的な小規模な企画ですが、絶滅してしまった動物の剥製、生薬の標本、実験道具、絵画作品などが一堂に会するバラエティに富んだ内容で、それぞれの大学の個性が感じられ、今後の展開が期待される新機軸の展覧会といえましょう。