ベルギー王国が世界に誇るこの美術館は、1801年の設立政令以来200年以上の歴史を持ち、15世紀から20世紀までの約20,000点を所蔵する、同国を代表する最大の美術館です。本展は、ブリューゲル、ルーベンス、ヴァン・ダイク、ヨルダーンスら16、17世紀フランドルの巨匠たちにはじまり、クノップフ、アンソールら象徴派さらにマグリット、デルヴォーらシュルレアリストなど20世紀の作品まで、同館からの選りすぐりの約90点(油彩約70点、素描約20点)によって、豊饒のベルギー美術400年の歴史を展望する内容となっています。
今回とくに注目すべきは、現存の油彩作品が40点ほどしかないピーテル・ブリューゲル〔父〕(?)の《イカロスの墜落》が日本初公開されることです。近年、作者をめぐって熱い議論が展開されていますが、光と空気をはらんだような瑞々しい色彩と豊かな風景表現、細部に至る緻密な描写が見事なこの作品は、まさに王立美術館の、さらにはベルギー王国の顔として長年広く親しまれてきました。ベルギー美術の粋を集めた本展にどうぞご期待ください。