千葉市は平成3年度に、東京にお住まいの佐藤友太郎氏から美術品407点の寄贈を受けました。佐藤氏は銀座で昭和30年(1955)から56年(1981)にかけて「サトウ画廊」を経営し、戦後の現代美術の普及・発展に貢献されました。氏の友人で、画廊の開設を提案した画家の馬場彬氏が直接運営に携わり(後には馬場氏の代わりにやはり画家の江沢正秀氏が担当)、26年間に約700人もの作家たちがサトウ画廊で作品を発表しています。
サトウ画廊で展覧会を開催した作家たちのほとんどは佐藤氏に好感を抱き、展覧会終了後には小品を画廊に贈ったこともしばしばありました。結果として氏の手許には400点以上の作品が集まることとなったのです。氏は、同時代の美術に接する一助として、美術館を開設準備中の千葉市に、所有するほとんどの美術品を寄贈されました。作品の内訳は、102人の作家による絵画166点、版画213点、彫刻14点、写真1点、工芸14点です。
千葉市では平成4年に市民ギャラリー・いなげで受贈記念展を開催し、市美術館開館後はさまざまな展覧会で寄贈された作品を展示・紹介する一方で、他の美術館からの展覧会出品依頼や調査にも応じています。また、作品に関するデータ等不明な点については現在も引き続き調査や情報の収集を行っており、現代美術の普及を目指したサトウ画廊の活動の顕彰を心がけています。
今回展覧会で紹介する作品は29人・109点で、サトウ画廊の活動全体のほんの一部に過ぎませんが、新しい表現をこころみた作家たちの息吹にふれていただくことができればさいわいです。