東京都現代美術館では、昨年から常設展時を「MOTコレクション」と改め、当館の所蔵品を新たな視点から見直す試みを行っています。今年度第3期のMOTコレクションは、第二次世界大戦前後の1940年代から高度経済成長を遂げた1980年代を中心に各時代の代表的な動向を概観するとともに、3階展示室において「みんなのなかにいる私」と題する特集展示を行います。
私たちはひとりではありません。家族、友達、仲間、そして、近所に住む人、同じ電車に乗った人、町を歩く大勢の名も知らぬ人々・・・私たちのまわりにはさまざまな人がいて、同じ時代にくらしています。そして現代美術のアーティストも私たちと同じ時代を生き、同じようなものを見、同じニュースを知り、同じような町を歩き、同じような季節を過ごし、何かを感じ、考えています。彼らのくらしは私たちのくらしとつながっているのです。
今回の特集展示「みんなのなかにいる私」では、誰の日常にも見られるような光景をとらえたものや、アーティスト自身のごく身近にいる人を描いたものなど、特に「わたし」と「みんな」という関係や存在について観る人に共感していただける作家や作品を集めました。展示室で作品と静かに向き合い、作品を観る方自身やまわりの人々、作品を生み出したアーティストの存在を感じていただければと思います。