総合資料館が所蔵する国宝「東寺百合文書」をご紹介する展覧会です。
日本で律令が定められて、国家としての体制を整えるに伴い、公的な文書を作ったり受け取ったりする制度も整備されました。公文書の書式が定められたのです。
これとは別に私的な文書も、人々の間で往復していました。その代表的なものは書状ですが、地位や身分の高い人たちは直接筆を執らず、側近の人に文書を出させて、意思や意向を伝えていました。こうした文書を、側近が意思を奉じて出す文書、すなわち奉書と言います。
奉書に対し、自分の意思を直接伝える形式の文書を直状と呼びます。
今回は、東寺に残る多くの奉書と直状の中から、様々な例を広くご紹介します。この展示を通して文書の持つ多様性と、それを現在にまで伝えている東寺百合文書の重要性とをご理解いただければ幸いです。