本展覧会ではオーストラリアの現代美術を通して、現代社会の持つさまざまな問題を作家たちがいかに認識し、それをいかに表現し、そこから私たちが何を受け取るかをメインテーマとしています。
先住民作家から戦後移民作家まで、多様な文化的背景を持つ作家たち35人による73作品を一堂に紹介することによって、現代オーストラリアの美術と社会についてのより深い理解を可能にし、現代の社会、文化の複雑でしかもダイナミックに変容してやまないアイデンティティの諸相を皆さまに提示したいと思います。それは、さらに進んで彼らの絵画、写真、映像、立体、インスタレーションといった多様な作品との対話によって、オーストラリアという一国の括りを離れ、現代の私たちを取り巻く国際情勢と社会問題への問いかけも可能となるはずです。
多様な視点から過去を振り返り、現在を語り、未来を想うこれら作家たちの鋭い感性で語られる彼らのメッセージが、鑑賞者である皆さまのプリズムを通して、豊かに語り紡がれることを願っています。