本展は、1991年に26歳の若さで第34回安井賞を受賞した藤田邦統(1964年矢吹町生まれ)の現在を紹介する展覧会です。
具象画壇の新人登竜門とも言われた「安井賞展」は当館でも開催しており(1984年~1994年)、藤田は、第34回展において受賞作を前に講演会を行うなど、いわきでも馴染みのある作家です。現在は出身地である西白河郡矢吹町に住みながら制作し、個展をはじめさまざまなグループ展で毎年発表を重ねており、2002年には新制作協会会員に推挙されました。
最近の藤田の作品は、主に人物群像を描いていた安井賞受賞当時とは一見すると異なり、細胞や有機体を思わせるようなかたちがうごめく、より抽象的な作風へと転じています。
今回の展覧会には、大作・小品あわせて25点前後、ほとんど新作で構成される予定であり、美術館ロビーの空間に合わせて展開される藤田の濃密な絵画世界を堪能できる内容となることでしょう。