国立国際美術館では、このたび、精緻な描写力で「世界」のイメージを多層的に交錯させる小川信治(1959-)の個展を開催します。
小川は一貫して、見慣れた情景を改変して、私たちが普段見ているものとは別の世界の可能性を探ってきました。ダ・ヴィンチやフェルメールといった西洋古典絵画からイメージの中心となる人物を抜き去って描き直した「WITHOUT YOU」シリーズ、アジェの写真や古い絵葉書を元に、人物や建物などを二つ並べて描き込む「PERFECT WORLD」
シリーズ、一つの風景が層状に組み換えられて別の風景を作り上げる「干渉世界」など、油彩・鉛筆画・映像の三つのメディアで、小川の作品は展開してきました。
本展では、「WITHOUT YOU」シリーズから新作「モアレの風景」まで、約50点の作品を通して、複数の世界が互いに干渉するモアレとしての「多世界」を紹介します。