一人の人物像、雲・花弁・トランプ・緞帳といったモチーフの彩なす浮遊感漂う女神たちの世界。
佐川美術館では、多くの人の心を捉えながらも38歳という若さでこの世を去った天才画家・有元利夫(1946-1985)をご紹介する『有元利夫-女神たち』展を開催いたします。
イタリアのフレスコ画に強い衝撃を受けるとともに、日本の古仏や「平家納経」などを敬愛した有元利夫は、象徴性や様式を重んじる東西の古典美術を意識し、その魅力を現代に即した独自の表現をおこないました。日本画やテンペラ画をはじめとする様々な絵画技法を会得し、岩絵具や金箔といった日本的な画材を用いた独自の画法を駆使することにより、幾百の時代を経て存在するかのような風化を思わせる絵肌に、古典作品を思わせる力強い様式美と独特な静謐感をたたえた作品を創出しました。1978年には具象絵画の登竜門といわれる安井賞において初となる特別賞を、1981年には安井賞を受賞し、その作品群はこの世を去ってより20年以上を経た現在においても人々を魅了してやみません。
本展では代表作品約50点をはじめ、版画やデッサン、ブロンズや乾漆といった立体作品、作品が表紙を飾った書籍・CD・LPジャケット、自身や著名人が記した文章に加え、自らが作曲をした楽曲や貴重な映像資料などもあわせ、その魅力と全貌に迫ります。