中国近代絵画の巨匠、斉白石(1863~1957)の歿後50年をまもなく迎えますが、伝統的な文人画の世界に近代的な形象を導入した彼の絵画に対する評価は近年ますます高まっています。またその絵画全集も中国から続々と出版され、絵画史上に残した足跡の全貌も明らかになりつつあります。
白石の絵画は独創的なデザイン感覚において、他者の追随を許しません。出来上がったものを見ますと、誰もが真似できそうで、しかし以前には全く描かれたことのない奇抜なかたちと色彩が堂々とその存在を主張しています。まさに現代のグラフィック・アートに通ずる面白さがあります。
今回は、当館が近年受贈した須磨弥吉郎氏収集品を中心に、白石が北京に定住してまもない、1920年代から30年代にかけての優品を展示し、その画風形成・確立期の偉業を窺います。
あわせて、彼を引き立てた姚華や愛弟子、瑞光和尚等の作品も展示し、影響関係を探ります。