オーストリア出身のルーシー・リー(1902-1995)は、シンプルで洗練された独自のスタイルを築いた陶芸作家です。そぎ落とされたフォルムに美しい釉薬や装飾が施された作品は、ひそやかな華やぎを感じさせます。本展では、鉢や花生、ボタンなど約60点を展示し、現在も大きな影響を与え続ける彼女の魅力を紹介します。ルーシー・リー(1902-1995)は、ウィーンに生まれイギリスで活躍した女性陶芸家です。
1922年、ウィーン工業美術学校に入学したルーシー・リーは、ろくろに魅せられ陶芸の道を志します。その後ウィーンに工房をかまえ、展覧会で受賞を重ねるなど次第にその才能を開花させていきました。1938年、ナチスの迫害を逃れるためイギリスに渡り、終戦後、本格的に陶芸活動を開始。1946年、生涯の友となるハンス・コパー(1920-1981)に出会い、テーブルウェアなどを共同で制作しました。
極限までそぎ落とされたフォルムに細やかな装飾、艶やかな釉薬が施され微かに揺らぐルーシー・リーの器は、しなやかに、ひそやかに、そして強靭に生きた彼女そのものであるかの様です。
本展では、初公開作を含む鉢、花生、テーブルウェア約60点と釉薬研究の素となった陶製ボタン等により、凛とした気配宿るルーシー・リーの魅力を紹介します。